彼らは、成し遂げられるか?

『ブブキ・ブランキ』について語ろう。
魔女、血の宿命、未熟な子供たちと老練な大人たち、
恐怖で支配された国、そして宝島。この作品が描こうとするのは、
今どき珍しいような真っ直ぐさを匂わせる、
直截的で猛々しい物語のようだ。少年たちはいま、
世界を変えようとしている。大地を転覆させようとしている。
だがしかし。彼らにそんなことができるのか?

世界に放つ新しい日本の映像作品

心臓、右腕、右脚、左腕、左脚。
五つの家で代々受け継がれたブブキは人と交わり、
異能の力を生み出す。彼らが高みに目指すのは希望なのか、
あるいは破滅の災厄なのか。それはいまだにわからない。
むしろその答えを探し求めて、冒険と浪漫が、
波瀾と万丈が、そして闘いが口火を切るだろう。
彼らは、真っ直ぐに進み続けることができるか?
果たして、その先には何があるのだろうか?

向こう見ずの挑戦

サンジゲンは10周年記念作品として、
この作品を完全新作のフルCGオリジナル
アニメーションで立ち上げる。
それは既にして前代未聞のことだ。
しかも小松田大全は、初監督作品として
これに挑むのだという。キャラクターデザインには
コザキユースケ、シリーズ構成および脚本には、
イシイジロウと北島行徳。これは彼らが
過去に成功させたどの作品とも違う、
向こう見ずを承知で振り切るような仕事に
なるかもしれないだろう。彼らはその重圧を
請け負うのだという。だから再び問おう。
彼らは、成し遂げることができるのか?

冒険する少年少女

24年前からの因縁を経て、少年少女は反乱を開始する。
だが彼らの一人ひとりに、あるいは大人たちにも、
そして世界のあらゆる国々にも去来する、それぞれの思惑。
誰もに信じた道があるとしたら、いったい人間はどんな正義を
選び取ればいいのだろうか。この物語はそれでも問い続けるのだ。
何が正しいのか。そもそも、正しさなどあるのだろうか?

力を尽くす

大人たちは言うだろう。無謀であると。愚かであると。
何もわかっていないのだと。だが、この世界が
間違っているのなら、やらない理由などないのだ。
だから子供たちは、力を尽くしてみせることに決めたのだ。
闘いは既にはじまっている。すでに誰もが、
彼らに巻き込まれている。そこには切実な願いが
賭けられている。だが、三たび問おう。
彼らは、果たして成し遂げることができるか?
『ブブキ・ブランキ』は、成し遂げられることができるか?
そして君はそれを、見届けることができるだろうか?

文: さやわか(物語評論家)