第二十四話 “冒険者たち”

Scrap・Book

あれから一年。日常は穏やかさを取り戻し、人々はいつもの生活に戻っていた。
東は新たに一人暮らしを始め、黄金の通う高校に転校することを決めた。
ギーの率いていたデモクラティアが占有する全てのブランキが国営公社に移管される。そんなニュースを聞きながら朝ご飯を食べるこの生活は、父・明に連れられ宝島から逃げだし、ギーを倒すまでの日々と比べて嘘みたいに静かだと感じながら、
東はエピゾから届いた手紙を開く。

第二十三話 “星の巨人”

The Gentle Giants Of The Galaxy

嵐の吹き荒れるなか天を貫くほどの巨体を現すデウス・マグナ。
その脳内には倒すべき敵・ギーがいる。ブランキ“バトロフ”“メガララ”、そして薫子の乗る “ザンパザ”は、それぞれの想いを胸に、そしてレティシアの遺した武器を手に、全員の心を一つにしてデウス・マグナへの決死の攻撃を試みるが歯が立たない。
その頃、デウス・マグナの体内に入った東たちもまた、ギーを倒し、礼央子を助けようと、“王舞”とともに戦っていた。

第二十二話 “目覚める彗星”

The Comet Opens Its Eyes

『受け継ぐ』この言葉を一言で言いかえるとするなら『呪い』である。
一族に伝わる心臓のブブキを受け継ぐギーは、呪いを解こうと唯一の方法を取り解放されるが、皮肉なことに『呪い』は突然、ギーの元に戻ってくる。
悲嘆にくれたギーは決意する。人間の血をけがし、この忌まわしい『呪い』をかけたブランキ達を消し去り、この世界を純粋な人間の手に取り戻すと。
それから16年後。人々が見上げる先の空に、巨大な彗星の姿があった。

第二十一話 “白鳥の歌”

Swan Song

ギーの要塞島から礼央子を救い出した東たちは、アルゴー・ガウラで日本を目指す。
しかし、日本の領海にさしかかろうというころ、高速で接近する飛翔物体が現れ、焦る的場井。心臓のブブキの持つ固有波形から、相手はブランキ“メガララ”と判明する。
心臓を手に取り飛び出す東は、アルゴー・ガウラの船体上でメガララと対峙する。
ブブキ使いでなければ、ブランキさえ関係なければ最高の友人になれたはずの二人の戦いがいま始まる。

第二十話 “反逆する手足”

The Rebellions

草原を越え丘を越え、風よりもはやく軽やかに、見守る人の視界から一瞬で消え去り上昇を続けるブランキ“エピメウ”。コクピットのレティシアたちは、オオハクチョウの群れに歓声をあげる。車イスで過ごすしかないレティシアにとっては、鳥たちの見ているこの広い世界が素晴らしく見えるのだった。
鳥を追いこし、雲よりも高く上昇を続けるエピメウ。
もっともっと高く。その先に広がる宇宙を見つめるレティシアは一体何を思うのか。

第十九話 “兄と妹”

The Wooden Heart

車窓を流れるのどかな風景。東は、自分を車に乗せてくれた上に、協力を申し出てくれた親切な人物がギーと知らないまま、目的地である要塞島へと向かっていた。
その頃、黄金たちが残る隠れ家は敵襲を受けていた。窮地のなか東の姿がないことに気づく的場井と石蕗。東はここにはいない。
薫子を助けて戻ってくるまでは自分たちで戦う。柊や木乃亜はそう言うが、的場井が渋い顔して見上げる先には、ブランキ“バトロフ”の姿があった。

第十八話 “蝶と死刑台”

The Executioner's Scythe

台湾の寄宿学校に一人預けられていた薫子は、父・明と会う方法をずっと探していた。
ある日、ギーに呼び出された薫子は、明が母・汀と再会したと伝えられる。
汀に会うため、脳の朽ち果てていない個体、つまり人間と契約していないブランキの力を借りてまで宝島に上がった明。
それを知り、どこかさみし気な様子を見せる薫子の、強がりながらも心の底では両親に会いたがっている気持ちを利用しようと、ギーはある提案を持ちかける。

第十七話 “要塞島”

What Would You Fight For ?

デモクラティアの本拠地・要塞島の一室で、ギーが口にした裏切り者のブブキ使いの正体を知りうつむく薫子。どうして私はいつも何も知らないのか……。なぜこんな事になったのか。
答えを求める薫子は、現れたドゥーブルに問いかける。
しかしドゥーブルは、要塞島に来るであろう東と王舞を葬り、ギーの期待に応えられなければ、裏切り者と同じ末路を辿ることになる。お前はしらなくていいことなのだと言い残して、立ち去るのだった。

第十六話 “狩人の銃弾”

The Night Of The Hunter

雲海の上を自由自在に飛行するブランキ“炎帝”。
それを操っているのは礼央子ではなく、薫子だった。
ギーの率いるデモクラティアは、炎帝に薫子を疑似的に礼央子だと認識させることを技術的に可能にしていた。
炎帝の圧倒的な性能に酔いしれる薫子に、デモクラティアの内部に裏切り者がいると告げるギー。しかもその裏切り者が自分と同じブブキ使いだと知らされ、さらにその抹殺を命じられた薫子は当惑を隠せずにいるのだった。

第十五話 “右手の傷”

The Bullet Hit The Right Eye

にらみ合う東と薫子の周囲で繰り広げられる、手足のブブキ使い同士の戦い。
木乃亜の猛攻に身を守るしかない温。静流に圧倒される白。
趙も黄金に一切の攻撃を封じられていた。
そしてラクシミもまた、柊とイワトオシの主従を超えた連携に苦戦を強いられていた。
リーダーである劉に一方的に支配されるがままだったアジアチームの面々は、リーダーの東に縛られることなく奔放に戦う柊たちとの戦いを通し、ある変化の兆しを見せ始める。

第十四話 “にせものの心臓”

The Menacing Comet

薫子、エピゾ、マクシム、劉、レティシアたち5人の心臓資格者を前に、欧州に潜む首なしブランキの大半を殲滅したレティシアの戦果を称えるギー。
ギーにナンバーワンの心臓使いとして認められたい薫子は、心中穏やかではない。
さらにマクシムに特別任務が与えられたと知り憤る薫子に、心臓使いとしての才能を示す事が先決だと微笑むギー。そんな薫子をあざ笑う劉。
しかし、薫子は自分が王舞で世界を守るのだと不敵に笑うのだった。

第十三話 “黒い王舞”

Unique Girl

宝島の戦いから半月後…。活気あふれる台湾の街中を走るタクシーの車内に、黄金、木乃亜、静流、柊の姿があった。
しかし、東の姿はない。東は一人だけ出国手続きに手間取り、飛行機で台湾へと向かっている最中なのだ。
初めて訪れた台湾に浮かれる黄金たちに苛立つ柊が、「俺たちは、宝島が落ちた時に行方不明になった王舞の体を探すため台湾に来たのを忘れるな」と言いかけるや否や、台湾の空港の滑走路に首なしブランキが現れる。

第十二話 “宝島の少年”

Two Hearts

一希汀への憎しみを滾らせ、炎帝の手に摑んだその体を握りつぶそうとする万流礼央子。
時はさかのぼり、二人がまだ親友だった十六歳の日々。歴史の影に隠され続けてきたブランキ“炎帝”を上野の地に出現させた、礼央子の蜂起の真意。炎帝の手足を焼き尽くした汀が、礼央子を呪われた存在へと変えた理由。
数年におよぶ幽閉から解放された礼央子が何故、血塗られた道を歩もうと決意したのか。
隠されてきた過去が今、明らかになる。

  

第十一話 “不死の少女”

The Dreamcatcher

首なしブランキ“デラシネ”を狩り、その心臓を奪い取っていく各国のブブキ使いたち。
彼らはデラシネの心臓を使って、祖国に眠るそれぞれのブランキを目覚めさせるべく戦っていたのだった。
そして新走もまた礼央子のために戦っていた。
手足の無い不完全な状態の炎帝を操り、デラシネを倒す力の代償として、繰り返される苦しみに耐え続ける礼央子の姿をずっと見守り続けてきた新走は、東の母・汀にこらえていた怒りを爆発させる。

  

第十話 “砕かれる心臓”

Treasure Island

ついに完全体となった王舞の前に、炎帝が現れる。
その肩で不敵に笑っていたのは、礼央子ではなく絶美だった。
心臓の持ち主ではない絶美がどうして操れるのか? 驚く東に、炎帝には勝てやしないと言い放つ絶美。今のアタシたちは一味違う! 木乃亜の言葉に、同じ思いで頷く東。
完全体王舞の猛攻に追い詰められた絶美は、ロシアチームのブブキを手足として完全体炎帝となり、再び王舞を圧倒する。
果たして東たちは打ち勝てるのか?

  

第九話 “拳と拳”

The Heart Beats Again

動けよ、俺の心臓! アメリカのブブキ使いたちによる攻撃のさなか、動かなくなった王舞の心臓をどうにかしようとあがく東。
猛攻から東を守ろうとした柊は、防ぎきれずに吹き飛ばされて、地面に倒れ伏す。
アメリカのブブキ使い・リュイスは、柊が自分の身を挺して東を守った事を称え、同時に、守られるだけだった東を非難する。
そんなリュイスを止めるエピゾ。ここから先はリーダー同士で決着をつけると、
握った拳を東に見せる。

  

第八話 “止まった心臓”

Storm Bringer

現在の地上において、動く心臓を持つブランキは“王舞”と“炎帝”の2体のみ。しかも礼央子が首なしブランキ(“デラシネ”とも呼ばれる)を倒して新たに心臓を手に入れたのは、看過できぬ事態。
そう熱く語った男は、心臓を奪還すべく、日本に向けて配下のブブキ使いたちを送り出す。
その頃、ブランキ運搬線をひた走る東たちの前にギターを背負った人影が現れた。
大慌てで急ブレーキをかける柊。はたして、この人物は何者なのか?

  

第七話 “首なし巨人”

Master Of Gravity

……お前は…あのときの…。
王舞を運搬する列車に迫るブランキを見た東は、それが十年前に宝島で、自分たち家族を襲った首なしブランキだと気付く。首なしブランキを見上げたまま動かない東は無残にも踏み潰されたかに見えたが、木乃亜の命令によってホエマルとヒメキリが間一髪救出する。
安堵する黄金と、合流する柊と静流。
4人がブブキを構えた瞬間、強い光を放った東の心臓に呼応するかのように、
骨王舞から光の柱が立ち上る。

  

第六話 “灰色の宝石”

A Clockwork Whiz

辛くもブブキ戦2勝目をあげた東たち。しかし次の対戦相手は、堀野という仮の姿に化けていた、礼央子の四天王である間絶美だった。信頼していた堀野の正体が宿敵の腹心と知り愕然とする柊たち。裏切りの理由を問い詰める木乃亜だったが、ひょうひょうとした絶美に、はぐらかされてしまう。怒りに任せて攻撃をしかける柊だが、絶美のブブキの能力に翻弄されてしまう。相手の力を見極めろ。東の声に一度は冷静になる柊だったが……

第五話 “剣と指輪”

2 Swords × 8 Rings

宝島に向かって走る王舞運搬列車の上で、つづくブブキ戦。新走と対峙する木乃亜は、新走の指輪のブブキが放った光を浴びてしまう。一瞬、自分の過去の姿を垣間見て戸惑う木乃亜。加勢に入ろうとする東を制止し、木乃亜は新走とは自分が白黒つけると言い放つ。木乃亜の言葉を信じて見守ろうとする東。一方、柊は、木乃亜と新走の関係が気になって仕方ない様子。一体、木乃亜と新走の過去に何があったのか?

第四話 “右手と拳銃”

The Right Hand Bites The Bullet

えぐってやる! 怒りにかられ、右手ちゃんをふりかざして的場井に戦いを挑む黄金だったが、的場井の圧倒的な攻撃力の前になす術もなく地面に沈む。助けようと飛びかかる東にも、的場井は容赦なくブブキの銃弾を撃ち込むが、心臓のブブキがそれを受け止めはね返す。王舞で戦うしかない。そう判断した東は心臓をかざして王舞を呼ぶが、反応がない。戸惑うばかりの一同をあざ笑う的場井が取り出したのは、ブランキ“炎帝”の心臓だった。

第三話 “心臓と手足”

Heart Meets Arms

10年前、東京に落下した無数のデラシネは万流礼央子とブランキ“炎帝”によって一体残らず倒された。燃え盛る炎のなかで狂気の笑みを浮かべる礼央子の姿。その日から炎帝と礼央子の恐怖による統治が始まった。時は現在、東たちが新宿からの逃走の先で出会った堀野と名乗る女性は、東の母・一希汀がかつて礼央子に勝利した唯一の存在であることを東に教える。さらに知るべきことがあると告げる堀野は、東を「一希文庫」のある資料館へと導くのだった。

第二話 “炎の巨人”

Blazing Berserker

骨と化した王舞を呆然と見上げる東の元に、的場井の足止めに成功した柊や黄金たちが合流する。
今が王舞を復活させる絶好のチャンスと考えた柊は、
王舞復活のカギである心臓のブブキを渡せと東に迫る。自分はそんなものは持っていないと、
柊を苛立たせるだけの東。東は心臓のブブキを持っているのかいないのか……。東が心臓のブブキを持つなら、ブブキは主人の危機に反応するはずだと考えた柊は、イワトオシを手に東に襲い掛かる!

第一話 “魔女の息子”

Earthbound Giant

10年ぶりに日本に帰国した一希東は訳も分からぬままに、
ブブキ警察に追われることになってしまう。
捕らわれの身となった東を助け出したのは、幼馴染の朝吹黄金と右手の形をしたブブキだった。
ブブキの存在を初めて知った東は、ブブキ使いの野々柊、扇木乃亜、種臣静流たちと出会う。
東は自分も心臓のブブキ使いだと知ると、柊たちと共に新宿の地下、
ブランキの牢獄に眠るブランキ“王舞”を復活させるために動き出すのだった。